我孫子野鳥を守る会は単なる愛鳥団体ではありません。「野鳥を守る会」です。そこには、当会を設立した先人たちの思いが込められています。「手賀沼周辺の鳥図鑑」に見られる年間100種以上の野鳥に出会うことができる手賀沼とその周辺をホームグランドとし、探鳥を楽しむと共に、この恵まれた自然環境を未来に引き継いでいくことを目的に、当会は会の創立時から「野鳥を通じて自然保護に努め、人と鳥が共存する環境づくりを行う」ことを私たちのミッションとして会則に定めています。
野鳥の宝庫 手賀沼 !!!
しかし、手賀沼の水鳥に関しては、最近わずかながら回復の兆しが見えますが、その種類や個体数はかつてに比べ大きく減少しています。
かつての手賀沼周辺は、斜面林~農耕地~水生植物帯~水面と連続した自然環境であり、それらは採食、休息、繁殖など野鳥たちに豊かな生息生育環境を提供し、生態系との調和が確保されていました。水鳥の個体数の減少は、生育環境の変化が生態系に影響していることの表れと懸念されます。
我孫子野鳥を守る会は、手賀沼周辺の野鳥の観察と調査に基づき、その変化を研究し、人と野鳥の共存できる世界を目指し、環境保全の啓発を行っています。
手賀沼周辺の身近な野鳥117種
手賀沼水鳥個体数調査
かつては約40万羽のカモが飛来
手賀沼の環境変化は
手賀沼の野鳥個体数に大きく影響します
手賀沼はかつては今よりも広い水面で大きな沼でした。江戸時代から1968年まで干拓事業が繰り返され今の手賀沼となりました。
手賀沼環境学習資料「伝えよう手賀沼を」(千葉県東葛地方教育研究所刊2004年22頁)には1921年(大正10年)の調査では、約40万羽のカモ類が飛来したと記述されています。
現在では、カモ科の鳥の年間飛来数計は2018年6914羽、2019年では5910羽(当会水鳥個体数調査より)に過ぎません。
手賀沼、および周辺の環境変化が手賀沼の野鳥に多大な影響を与えています。
我孫子野鳥を守る会では、1977年から現在まで、手賀沼の水鳥の個体数調査を続けています。
個体数の変化とその原因を調査研究し、そこで得られた知見を毎年のジャパン・バード・フェスティバル等の場で発表すると共に、10年毎にレポート「手賀沼の鳥」をまとめ、環境保全の重要性を啓発しています。
前年度の「水鳥の個体数調査」の結果を、毎年11月開催の「ジャパン・バードフェスティバル」で発表しています
「水鳥の個体数調査」の結果をデータベースに収録し、10年ごとに周年事業としてまとめ、刊行しています
手賀沼ビオトープ鳥類調査
手賀沼ビオトープは千葉県の「手賀沼流域総合浄化計画」の事業の一つとして我孫子市岡発戸新田地先の湖岸の堤防と手賀沼の間に設けられ1999年3月に完成しました。
我孫子野鳥を守る会は千葉県からの委託事業として1999年から2008年まで「手賀沼ビオトープの鳥類調査」を実施しました。千葉県からの委託事業の終了後も現在に至るまで鳥類調査を継続して実施しています。
調査結果はデータベースに収録すると共にレポートにまとめて、環境保全の重要性の啓発に活用しています。
手賀沼クリーン活動
「一人ひとりの力でもっときれいな手賀沼に」をスローガンに、毎年冬に「手賀沼ふれあい清掃実行委員会」主催の「手賀沼ふれあい清掃」と「美しい手賀沼を愛する市民の連合会」主催の『手賀沼統一クリーンデイ』が開催されます。
我孫子野鳥を守る会は毎年この事業に参加し、手賀沼遊歩道や手賀沼畔のゴミの清掃、ナガエノツルノゲイトウ等の外来植物の駆除作業等を担当しています。
手賀沼の野鳥の生息環境の維持・保全のために今後ともこの活動を続けていきます。
美しい手賀沼を愛する市民の連合会へ参加
特定外来植物駆除
手賀沼とその流域では、この数年、特定外来植物オオバナミズキンバイとナガエノツルノゲイトウが繁茂し、様々な害をもたらしつつあります。
我孫子野鳥を守る会は「美しい手賀沼を愛する市民の連合会」の一員として手賀沼流域の行政とも協力し、特定外来植物の調査とその駆除作業に参加しています。
その他の活動
- ハスを含むヒメガマ・マコモの生育状況等の調査
- 手賀沼水環境保全協議会とともに湧水調査、河川の水質・生物調査
- 手賀沼水環境保全協議会の専門委員会や担当者会議への参加
環境保全活動貢献で受賞
我孫子野鳥を守る会の活動に対して、これまでに我孫子市や日本鳥類保護連盟などから表彰していただきました。
平成15年には、自然環境の保全に関する普及啓発活動や環境美化への取り組みに対し「地域環境保全功労者表彰」として環境大臣賞を受賞しました。