野外に出て、自然の中で生きている野鳥を見て楽しむことをイギリスでは「バードウ
オッチング」、アメリカでは「バーディング」と呼んでいます。
しかし、楽しみ方は自由で、こうしなければいけないという決まりはありません。
「なんで、あんな鳥を見て楽しいんだ」と思う人もいるかと思いますが、野鳥を真近かに見て、そのしぐさや表情を知ったら、きっとやみつきになるに違いありません。
一般的に「どんな鳥を知っていますか」とたずねたら、最低でもスズメ・ツバメ・カラス・ハト・などの名前がかえってくると思います。
フィールドに出て、公園や空き地などへ行って見ましょう。そして、空を見上げたり、目をつぶって聞き耳をたててみましょう。
今まで、身近にもっと多くの野鳥がいるのにもかかわらず、見過ごしている場合が多いことに気がつくことでしょう。
バードウオッチングのコツはよく見ることと、鳴き声をよく聞くことです。
さあ、みなさんフィールドへ出てバードウオッチング(以下探鳥と略)を始めましょう。
(1)できたら直ぐにでもそろえたいもの
・双眼鏡
フィールドへ出て、鳥を見ようとすると、容易に近づけないので肉眼でみることは難しいことです。どうしても双眼鏡が必要となります。
初めて購入する方には、倍率は7〜8倍のものを推薦します。
気をつけたいのは重さです。一日中首にかけるので、首が疲れて負担になります。双眼鏡に「8×40」というような表示があります。「8」は倍率を表し、「40」は対物レンズの口径が40ミリという意味で、この数字が大きいほど視野はあかるくなります。初心者用としては倍率の高いものは振れが大きく、また被写体を視野に入れることが難しいので、お勧めできません。
「8×30」程度の双眼鏡をお勧めします。
・鳥の図鑑
屋外用の図鑑は、初心者用としては持ち運びに便利なコンパクトでかつ充実した図鑑が良いでしょう。
(財)日本野鳥の会が出版している、野鳥観察ハンディ図鑑「新水辺の鳥」「新山野の鳥」がお勧めです。当分の間はこの2冊があれば十分です。
(2)馴れてきたらそろえたいもの
・望遠鏡
最初は双眼鏡でも満足できるのですが、馴れてきて遠くの被写体を見たいときなどは望遠鏡が欲しくなります。
また、望遠鏡を通して鳥を見たら、その素晴らしい色彩豊かな画像に驚かれることでしょう。
望遠鏡は各社から発売されていて、接眼レンズは交換式になっています。
単焦点接眼レンズは倍率を上げればよいというものではなく、標準的には20〜25倍の接眼レンズが使われています。この他ズームレンズも用意されています。
参考までに紹介すれば、私は接眼レンズとして20〜45倍のズームレンズを使用しております。なお、望遠鏡は必ず三脚に取り付けて使います。倍率が高いので、手に抱えると手ブレで見難いからです。
・鳥の図鑑
探鳥に馴れてきたら、最初にお勧めした図鑑よりは上級で鳥を見分けるポイントが分かりやすい図鑑を求められたら如何でしょうか。
持ち運びはやや重い感じですが、鳥を見分けるには必要となってきます。カラー写真版と精密画のものがありますが、好みによって購入されたら如何でしょうか。
とりあえず、(財)日本野鳥の会出版の「フィールドガイド日本の野鳥」がお勧めです。
・鳥の鳴き声
姿は見えないけれども、鳴き声によりこの場所には××の鳥がいるという確認ができ、さらに××の鳥を視認できる可能性ができてくるわけです。
そして、探鳥が終了すると、今日見た鳥を確認する「鳥合わせ」を行います。
この際、視認できなくても鳴き声を確認できた鳥は「鳥合わせ」の数の中へ算入します。
このため、鳥の鳴き声を録音したカセットやCDを購入し、あらかじめ聞いて覚えておくことが重要になってきます。
なお、NHKから「自然のBGM・日本の野鳥」のカセットが発売されております。
(3)その他必要なもの
細かいことを言えばきりがありませんが、「フィールド・ノート」「筆記用具」などは必ず携帯しましょう。
3.野鳥の観察は何処でどこに行けばどんな鳥に出会えるか探鳥を始める人にとって、一番関心のあることです。
野鳥の多くは、夏をすごす繁殖地と冬を過ごす越冬地とを移動(渡り)しますが、なかには留鳥といってあまり移動しない鳥もいます。
また、アオジやウグイスのように、山地で夏を過ごし、秋には平地に降りてきて、市街地や公園で冬を過ごすような、小さな渡りをする鳥もいます。
そこで、みなさんの居住地周辺で、鳥が住んでいそうな「市街地」「公園」「田畑」「雑木林」「低山」「渓谷」「高山」「池沼」「河川」「湿原」「草原」「干潟」「海岸」「海上」などが探鳥地の対象になります。どのような鳥が見られるか、詳しくは探鳥地のガイドなどを参考にされたら如何でしょうか。
(財)日本野鳥の会が発刊する「バードウオッチングガイド日本の探鳥地」シリーズがお勧めです。
我孫子市周辺の主な野鳥の観察地を紹介しますと、「手賀沼の周辺」「手賀の丘公園」「北柏ふるさと公園」「あけぼの山公園」「利根川ゆうゆう公園」「滝下広場(手賀沼遊歩道)」などがあります。なお、本ホームページの「手賀沼周辺探鳥地」に詳細な地図が掲載されております。
これといった決まりはありませんが、近郊であれば軽いハイキング程度と考えればよいでしょう。
段々馴れてきて、遠出をするようになったら、しっかりした服装が必要になってきます。野や山へ出掛ける時とか川や海へ出かける時など、あるいは季節によっては防寒着なども必要になってきます。
探鳥といっても人それぞれ様々な楽しみかたがあります。
他の方を気にする必要はありませんが、早く上達しようとする場合は次項を参考にして努力してみては如何でしょうか。
(1)熱意と継続した努力
まず、探鳥の実績を積むことです。これがなんといっても基本です。
そして、事前に出現するだろうと思われる鳥を予測して図鑑で調べ、帰宅したら今日見た鳥を図鑑で確認するなど、いわゆる学生時代に経験した予習・復習が重要となってきます。
なお、見た鳥はノートに鳥名・場所・時間などのメモを記録しておきましょう。
また、鳥の鳴き声を録音したテープやCDを聞き予習をしておくのも大切なことの一つです。これにより、鳥に対する興味が益々強くなってくることでしょう。このような、たゆまぬ努力が必要となります。
(2)フィールドの確保
住まい近くの林・畑や田んぼ、川や沼など、多くの野鳥が存在するフィールドがあると、気軽にでかけられ、沢山の鳥を見ることができ、上達も早くなります。
(3)ベテランの指導者に教えてもらう
探鳥の実践を積んだベテランを探し、教えてもらうのがベストです。
鳥のベテランだけでもよいのですが、鳥・植物や昆虫に得意なオールラウンドプレイヤーに出会えたら最高です。
このためには、居住している最寄の「野鳥の会」などの団体に入会するのが早道です。その会が開催する探鳥の会に参加し、リーダーから探鳥のノウハウを伝授してもらうことです。
一人で本を見ながら探鳥しても、なかなか鳥が見つからなかったり、間違った鳥名を覚えたりします。是非、よい指導者に会えるよう願っています。
(1)探鳥マナー
鳥を見たさに鳥の直ぐ近くまで近寄り、鳥に恐怖感をあたえることは止めましょう。
結局、鳥は逃げてしまい、見ることもできないでしまいます。
とくに営巣中の巣のそばに近寄ることは、親鳥に恐怖を与え巣を放棄する場合も考えられますので絶対避けたいことです。
ある一定の距離(鳥の警戒ライン)を保って探鳥するよう心がけましょう。
また、人と人との関係ですが、探鳥地はどうしても人が集まり、鳥の見える場所に集中的に集まり勝ちです。この場合、強引に割り込んだり、人の前に立ったりしないでお互いに「譲り合う心」で楽しく鳥を見ましょう。
さらに、探鳥地が田んぼや畑の場合、あぜ道を歩いて崩したり、畑を踏みにじったりして田畑の所有者に迷惑をかけることはやめましょう。公園の花壇に入り、花を踏みにじることも同様です。
愛鳥家にはこんな人は居ないと思いますが、最後に「ゴミは持って帰る」を守ることは当然のことです。
基本的には人と鳥が嫌がるだろうと思うことはしないことです。これがルールとマナーであることを認識していただきたいと思います。
(2)撮影マナー
2010年のジャパン バード フェスティバル(JBF)におけるフォトコンテストで採用された「野鳥生態写真のマナーについて」を参考にして下さい。
7.鳥に関してその他の楽しみ方(1)野鳥撮影
写真の撮影は年々技術が向上し、機材も普及してきて、だれでもプロらしい写真が撮れるようになってきました。鳥の世界でも同様です。
とくにデジタルカメラや関連する画像処理ソフト・印刷機の進歩・普及によって、撮影した画像をパソコンに取り入れることから印刷まで、誰でも一貫して処理できるようになりました。
これにより、鳥の撮影はますます一般化され、撮影人口も増えています。
ここで、撮影方法について簡単にふれてみます。
おおざっぱに分けると、デジスコシステムと一眼レフによる2通りの方法があります。
デジスコとは、コンパクトデジタルカメラと望遠鏡(スコープ)をアダプターで接合し超望遠撮影ができるシステムです。
高価な機材が必要とする超望遠撮影が比較的安いコストで楽しめます。一眼レフと比べた場合、重量面で比較的に軽いというメリットはあります。
一方、一眼レフによる方法は、ご存知のように一眼レフカメラに望遠レンズを取り付けて使用します。
カメラ本体か望遠レンズに手振れ止め装置がついていて、シャッターを押すときなどの触れを防止できます。なお、一眼レフは、動きのある被写体の撮影は可能ですがデジスコの場合は撮影するのは至難の業となります。
どうしたわけか、入門時はデジスコで始めた人が、いつの間にか一眼レフカメラ組に変わっている場合が多いのも現実です。多分、動きのある被写体を撮りたいという願望と、デジスコの場合撮影前の準備に時間がかかるので、突然出現した鳥を撮ることができない場合があり、このためだと思われます。
どちらを選ぶかは、購入前に十分検討され、撮影に取り組んで下さい。
(2)鳥を描く
鳥を描いてみたいと思う人は多いのですが、難しいようです。植物のように、手元に置いて、じっくり見て描くことができないからでしょう。
ビデオを利用してストップモウションをかけ、スローモウションで動きのある構図をみるのも一つの手法でしょうか。
絵画風・スケッチ風など、それぞれの持ち味で描いてみましょう。
(3)バードカービング
バードカービングはアメリカで発達した木彫りの鳥で、狩猟家が使った、おとり用のカモのデコイが進歩してできたようです。より精確・精密で、本物と見ま違うほどの作品があります。初心者向きには参考書やキットが発売されております。
(4)庭やベランダで楽しむ
庭がなくてもベランダや物干し場に野鳥たちを呼び寄せることもできます。
原則的には餌やりは勧められませんが、餌が乏しくなる冬の間ぐらいは許されることでしょう。小さな餌台で野鳥の楽園ができあがります。
ー以上―