日 時 | 2020年2月24日(月・祭日) 13:30〜15:00 |
会 場 | 水の館3階研修室 |
講 師 | NPO法人アジア母子福祉協会常務理事 大谷光弘さん(当会会員) |
内 容 |
昨年7月にマダガスカルで植林事業に従事された当会会員の大谷光弘さんに第32回野鳥サロンで「マダガスカルでの植林と野鳥」に関し、ご紹介いただきました。 マダガスカルはアフリカ大陸南東部沖にある世界で4番目に大きな島です。海を隔てて大陸から隔離されているため、固有の動植物が極めて多いことで知られています。特に古いタイプの猿である原猿類は全種の3/4がマダガスカルのみに棲息しており、カメレオンも全種の約半数の61種がマダガスカル固有種です。 大陸間を飛んで移動できる鳥類ではアジア、ヨーロッパ等との共通種もかなりいますが、それでも固有種は多く、マダガスカルのみにしか見ることのできない鳥たちの紹介に期待が膨らみます。 当日は、19名の会員の参加を得て、定刻通り開催されました。まず、講師の大谷さんの自己紹介の後、マダガスカルの特徴、植林事業での活動経緯などからお話が始まりました。 マダガスカルは日本の1.6倍の国土を持ちながら、人口は約1/5に過ぎません。しかしながら、この30年で人口は2,7倍に増え、開発が急速に進んできました。開発が進むにつれ、伐採された森林の後に、成長が早く、育てやすいユーカリとカリブ松が植林され、生物の生育にそぐわないユーカリとカリブ松ばかりとなってきた現状に関し、お話がありました。 マダガスカルは広い国土にも関わらず見られる野鳥の数は285種でさほど多くはありません。しかしながら日本では固有種が12種といわれているのに比し、マダガスカルでは110種もの固有種が存在します。鳥の博物館にも卵の化石が展示されている歴史上で世界で最も体重の重い鳥であったエピオルニスもマダガスカルの固有種でした。その中で45種が絶滅の危機に瀕しています。 電気等の生活インフラの普及が遅れているマダガスカルでは、燃料ともなり伐採後もすぐに育つユーカリは大変便利とのことです。森林破壊、家畜の放牧、焼き畑農業、燃料・建材としての伐採・・・森林がどんどん破壊され、代わりに野鳥や野生動物と共存不可のユーカリ林が増えていることが、固有種の野鳥たちを追い詰めています。 大谷さんたちは、そこに野鳥にも優しい、桜等を植林することで、人と野鳥や野生動物との共存を目指しています。 植林活動のお話の後、大谷さんがマダガスカルで出会った鳥たちの話になりました。 アンビジャーノで出会ったマダガスカルチョウゲンボウ、インドハッカ、アンバトランピで出会ったマダガスカルハチクイの写真が披露されました。続いて、アンチラーベで出会ったマダガスカルキセキレイ、クロヒヨドリ、首都のアンタナリボで見たアフリカノビタキ、イエスズメ、動物園で見たマダガスカルトキなど次々と紹介されます。サギのコロニーでは日本と同様にダイサギ、コサギ、アマサギ、アオサギ、ゴイサギが混群で営巣しています。日本と同様のシギチも渡ってきます。 帰途に立ち寄られたエチオピアで見られたハタオリドリ科の鳥たちも紹介されます。 その後、大谷さんの訪問した植林地等では見ることのできなかった魅力的なマダガスカルの鳥たちに関し、インターネットから検索した写真を固有種を中心に紹介いただきました。特にマダガスカル固有種のマミヤイロチョウやジブッポウソウ、クイナモドキ、キエリヨタカは印象に残ります。また、5科ある固有科の一つのオオハシモズ科の鳥たちはその形状だけ見るとこれらが本当に同じ科の鳥なのと出席者全員が目を見張りました。 その後、活発に質疑が行われ、予定の終了時間となり、閉会し散会しました。 当日の式次第は以下となります。 【式次第】 1. 船津会長 開会あいさつ 2. 講師紹介 相良副会長(司会・進行) 3. 大谷光弘さん講演 「マダガスカルでの植林と野鳥」 4. 質疑応答 5. 坂元副会長 閉会挨拶 報告 相良直己 |
参 加 者 | 19名 |
当日のスライド表紙
撮影:相良直己
講師大谷さん
撮影:相良直己
船津会長の開会あいさつ
撮影:桑森亮
熱心にお話を聞く会員たち
撮影:相良直己
マダガスカルハチクイ(マダガスカル)
撮影:大谷光弘
キムネコウヨウジャク?(エチオピア)
撮影:大谷光弘