日 時 | 2016年1月11日〜16日 |
内 容 | 台湾探鳥会は、当会と長年の交流がある「台湾野鳥保育協会」前会長の林さんのご厚意の下で、2011年から有志探鳥会として4回行われています。第5回目となる今回は、当会の公式行事として2016年1月11日から16日まで5泊6日で実施され、15名の皆さんが参加しました。 探鳥ツアーの主な行程は、 初日 :桃園空港(入国)➡烏來桶後溪➡礁溪泊 2日目:礁溪・四十甲➡下埔竹安➡古亭➡蘭陽溪口(清水大閘)➡花蓮泊 3日目:布洛灣➡天祥➡西寶➡碧緑➡關原➡梨山泊 4日目:福壽山➡天池➡合歓山(小風口・武嶺)➡奧萬大泊 5日目:奧萬大➡埔里➡霧峰桐林➡台北泊 6日目:台北植物園➡華江雁鴨自然公園➡桃園空港(出国) というものです。 台湾島は、南北が約394km、東西が約144kmと縦長で南北に細長い形状で、島の東部と中央は山地で、3,000mを超える高峰が連ねる山脈が南北に走っています。面積は約36,000平方kmで日本の九州と同程度の大きさです。 この台湾島の北西(桃園)から北東(礁溪)に出て、北東から東側を南下して中部(花蓮)へ、東側中部から東西横貫道路を通って中央山脈を越えて台中市へ、台中から北上して台北へ戻るという、恐らく移動距離は500kmを優に超え、相当広い範囲で湿地から高山まで多彩な環境を巡る探鳥ツアーでした。特に3〜4日目は、平地から3,000m級の山地を越えるルートで、道中で降雪によるチェーン規制箇所があり、車をバスからチェーン付小型車に乗換えるというハプニングもありました。 台湾の気候は、北部は亜熱帯、南部は熱帯モンスーン地帯になりますが、海抜の変化が大きいため、温帯や寒帯などの気候環境も形成しており、生物の種類が多い豊かな生態系を有しています。また、長い期間、島として隔離されていたことにより、台湾には25種の固有種と56種の固有亜種の鳥が生息し、記録されている野鳥は約650種になります。 探鳥会全体で認められた鳥は末尾のリストの通りで、111種にものぼりました。春以降に日本に飛来するヨシゴイ、アマサギなどのサギ類、セイタカシギ、タカブシギなどのシギチ類、ツバメ、コシアカツバメなどのツバメ類、ヒメアマツバメ、アマツバメなどのアマツバメ類など、様々な鳥に出会えました。台湾固有種では、低地でクロガシラ、ヤマムスメに、低〜中海抜の山地でゴシキドリ、ルリチョウを、中海抜の山地でシマドリ、ミミジロチメドリ、ヤブドリ、カンムリチメドリ、タイワンシジュウカラを、中〜高山でアリサンヒタキを、高山でキンバネガビチョウなど、14種を観察できました。更にアジアで稀少種とされているズグロミゾゴイにも出会えました。また、印象に残るのは、赤くて綺麗なベニサンショウクイ♂、黄色の♀、濃紺の綺麗なクロエリヒタキ、更には1回目探鳥会以降近くで観察できなかった皆さん憧れのヤマムスメが近くで何度も観察できたことです。 今回の探鳥の旅は、台湾の林さん夫妻、ガイドの黄さん、バスの運転手さん、更に担当の間野さん、野口さんをはじめ参加者の皆さんと関係者が協力し、色々なことを経験した楽しい探鳥三昧の旅でした。準備等にご尽力された皆さんに感謝し、日本から2,000km離れた南の台湾へも探鳥に行けることを夢見つつ報告とします。 (桑森、鈴木) |
認めた鳥 | オカヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、コガモ、キンクロハジロ、テッケイ、カイツブリ、カワウ、ズグロミゾゴイ、ヨシゴイ、ゴイサギ、コサギ、アマサギ、チュウサギ、アオサギ、ダイサギ、アフリカクロトキ、ミサゴ、カンムリワシ、カザノワシ、オオタカ(タイワンオオタカ)、トビ、チョウゲンボウ、シロハラクイナ、バン、オオバン、セイタカシギ、ムナグロ、コチドリ、イソシギ、タカブシギ、クサシギ、ユリカモメ、クロハラアジサシ、カワラバト(ドバト)、タイワンジュズカケバト、キジバト、カノコバト、ベニバト、アオバト、オオコノハズク、ヒメフクロウ、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、セグロコゲラ、ヤマゲラ、ゴシキドリ、ベニサンショウクイ、アカモズ、モズ、タカサゴモズ、オウチュウ、ヒメオウチュウ、クロエリヒタキ、ヤマムスメ、タイワンオナガ、カササギ、ハシブトガラス、タイワンショウドウツバメ、イワツバメ、ツバメ、リュウキュウツバメ、コシアカツバメ、ゴジュウカラ、カワガラス、クロガシラ、シロガシラ、クロヒヨドリ、コシジロムシクイ、タイワンコウグイス(コウグイス)、マミハウチワドリ(アジアマミハウチワドリ)、アオチメドリ、カンムリチメドリ、メジロ、ノドフズアカチメドリ(ズアカチメドリ)、ヒメマルハシ、マルハシ、メジロチメドリ、ヤブドリ、シマドリ、キンバネガビチョウ、ミミジロチメドリ、ズアカエナガ、タイワンシジュウカラ、ヤマガラ、キバラシジュウカラ、ヒガラ、ルリビタキ、アリサンヒタキ、シキチョウ、ジョウビタキ、カワビタキ、イソヒヨドリ、ルリチョウ、トラツグミ、シロハラ、アカハラ、ハッカチョウ、ジャワハッカ、インドハッカ、クビワムクドリ、ハナドリ、ハクセキレイ、キセキレイ、ツメナガセキレイ、ビンズイ、イワヒバリ、アトリ、スズメ、シマキンパラ 以上111種(うち固有種14種) |
参 加 者 | 15名 |
2016/1/12 中冠礁溪大飯店にて
撮影:間野吉幸
2016/1/12 礁渓・四十甲の探鳥
撮影:古出洋子
2016/1/12 下埔竹安での探鳥
撮影:古出洋子
2016/1/12 花蓮での夕食
撮影:古出洋子
2016/1/14 福壽山での探鳥
撮影:古出洋子
2016/1/15 埔里(公田溝)
撮影:古出洋子
タイワンシジュウカラ
布洛灣にて撮影、台湾の固有種です。撮影:桑森亮
ベニサンショウクイ
赤いのが♂で、黄色の♀が隣に飛んできました。撮影:桑森亮
カンムリチメドリ
奥萬代で撮影、台湾の固有種です。撮影:桑森亮
カザノワシ
福壽山農園で撮影。大きなワシが突然空に現われました。ツアー中3回カザノワシの雄大な飛翔が見られました。
種名は、戦前に台湾の台南博物館で野鳥の採集・研究に尽力した風野鉄吉氏に因みカザノと名付けられています。
撮影:桑森亮
雪山
福壽山農園から撮った雪山の写真です。梨山の高山に広がる農地の先に冠雪した雪山がそびえています。撮影:桑森亮
合歓山小風口
標高3000mを越える国道沿いに小風口の駐車場があり、小雪が舞う中でチェーン付車に乗換えました。台湾では高山でも降雪が珍しいようで、若者が車のボンネットに楽しそうに雪だるまを作っていました。撮影:桑森亮