ヨシガモ (葦鴨、Anas falcate) [カモ目カモ科マガモ属]
ヨシガモは日本では冬鳥です。
シベリア、カムチャッカ、中国北東部、モンゴルで繁殖し、日本へはシベリア、カムチャッカより越冬のため飛来します。
特徴は、ナポレオンハットの形状の頭部と鎌状の三列風切羽です。
日本に飛来する頃はエクリプスであり雌雄共地味な色合いですが、繁殖期のオスは額から、後頭部、眼先、頬の羽衣が赤紫(鉄錆色)、眼から後頭の羽衣が緑色、喉の羽衣は淡黄色で黒い首輪上の斑紋がはいり、華やかな姿に変わり、私たちを楽しませてくれます。
鮮やかに光り輝く頭部の羽は緑色をしているのでしょうか? ヨシガモの頭の羽は緑色なのではありません。 それは光の芸術がなしたものです。
ヨシガモの頭の色は、羽の微細な構造により光の反射や干渉によって輝いて見えるのです。 これを「構造色」と言います。 今回は、構造色に着目し、ヨシガモの頭の色の光の芸術にスポットライトを当ててみました。
01 構造色輝くヨシガモ 井頭公園 2016年02月06日撮影
ヨシガモの頭の羽は緑色をしているのでしょうか? 鳥の羽に青色の色素はありません。
02 ヨシガモの頭の緑色は構造色 谷津干潟 2016年04月24日
ヨシガモのあたまの緑色は構造色なのです。 それは微細構造の頭の羽と光の波長の織り成す技です。
03 明るい日差しの下、緑色が輝くヨシガモ 谷津干潟 2016年03月21日
明るい太陽光線の下では、緑色の光が反射・増幅し、他の波長の光が吸収されます。緑色が一層輝きます。
04 雲に陰ると鉄錆色が増す同一個体 ヨシガモ 谷津干潟 2016年03月21日
前の写真と同じ日の同一個体です。雲に陰ると鉄錆色が増します。構造色では、光線の加減で、様々な色に変化して見えます。
05 日陰では輝きを失う ヨシガモ 谷津干潟 2016年03月21日
同じ日の谷津干潟での別個体です。日陰では構造色の羽は輝きを失います。
06 光線で微妙な色合いのヨシガモ 谷津干潟 2016年03月21日
光線の具合により微妙な色合いとなります。前からの光のため、頭の後ろは輝きを失っています。
07 構造色を持つ他の野鳥@ カワセミ 井頭公園 2016年02月06日
構造色の羽を持つ、他の野鳥を紹介しましょう。 先ずは、青い色の宝石、青く輝く翡翠カワセミです。
08 構造色を持つ他の野鳥@ カワセミ 手賀沼遊歩道 2013年01月26日
背中の光の反射が美しい、青く輝くカワセミです。
09 構造色を持つ他の野鳥A青く輝くマガモ 菅生沼 2016年03月04日
構造色の羽を持つ鳥その2はマガモです。 このマガモ雄の頭は濃青色に輝いています。 くちばしの黄色が良く映えます。
10 構造色を持つ他の野鳥A緑色に輝くマガモ 明治神宮北池 2015年12月17日
このマガモ雄の頭は見事な深緑色で輝いています。 進む方向が変わり、太陽を背にすると色は群青色に変わっていきます。
11 構造色を持つ他の野鳥A青紫色が輝くマガモ 井頭公園 2016年02月06日
青紫色の光を反射し、光り輝くマガモの雄。 光沢があり、見る角度により微妙に色合いが変わります。
12 構造色を持つ他の野鳥Bコガモ(目の周り緑色) 谷津干潟 2016年03月21日
目の周りの緑色が印象的なコガモの雄です。 後頭部の光沢が光の反射を示しています。
13 構造色を持つ他の野鳥Bコガモ(目の周り青色が強い) 谷津干潟 2016年03月21日
同じ個体です。 向きが変わると後頭部が青い光沢に変わり始めます。
14 構造色を持つ他の野鳥C日陰のハシビロガモ 谷津干潟 2016年03月21日
日陰に入るとハシビロガモの緑色の頭が暗緑色に変わり、みるみる輝きを失っていきます。
15 構造色を持つ他の野鳥C緑色輝くハシビロガモ 谷津干潟 2016年03月21日
日向では同じハシビロガモの頭が、光を反射し、緑色に輝きます。 目の黄色も輝きをもって見えます。
16 構造色を持つ他の野鳥Dキジ 大津川 2016年04月30日
キジの羽の色は青色も緑色も構造色です。
微細構造の違いにより波長の異なる光の反射・増幅・干渉・吸収が異なり、微妙な色合いを演出します。
17 構造色を持つ他の野鳥Dキジ 大津川 2016年05月01日
首の色(構造色)のグラデュエーションに注目です。
キジやクジャクの羽色はまさに構造色による光の芸術といえるでしょう。
18 構造色を持つ他の野鳥Eキンバト 台北植物園 2015年03月15日
台湾でみたキンバトの緑色も構造色です。 藪から姿を見せ、光線が当たるとその緑色は光り輝きます。
19 構造色を持つ他の野鳥Fルリチョウ 台湾奥萬大 2016年01月15日
ルリチョウは日影が大好きです。 明るい日差しのところへはなかなか出てきてくれません。 美しく輝く瑠璃色を観たいものです。
20 手賀沼のヨシガモ 手賀沼 2014年11月30日
今回の主役ヨシガモの構造色を楽しみましょう。手賀沼でも毎年見られるようになりました。
21 渡良瀬遊水地のヨシガモ 渡良瀬遊水地 2015年02月15日
渡良瀬遊水地での光輝くヨシガモです。 2月、3月と繁殖羽が整うにつれ、その輝きが増してきます。
22 名古屋城堀のヨシガモ@ 名古屋城堀 2014年12月10日
後頭部の緑色の冠羽が長く伸び、まさにナポレオン・ハットの風貌躍如です。
23 名古屋城堀のヨシガモA 名古屋城堀 2014年12月10日
前の写真と同一個体です。 光線の加減で光輝く緑色の頭の後ろに光を失った冠羽が長く伸びています、
24 名古屋城堀のヨシガモB 名古屋城堀 2014年12月10日
鉄錆色の頭頂部と後頭部の緑色、境界部分の微妙な色合い。 光の波長の違いが微妙な色合いを作ります。
25 名古屋城堀のヨシガモC 名古屋城堀 2014年12月10日
真後ろを振り向くヨシガモ。 頭頂部の微妙な色合いが良く分かります。
26 谷津干潟のヨシガモ@ 谷津干潟 2016年03月21日
羽ばたくヨシガモ。 後頭部の緑色光沢が光輝いています。
27 谷津干潟のヨシガモA 谷津干潟 2016年03月21日
頭部全体に緑色が引っ込み、鉄錆色が強くなって見えるヨシガモ。後頭部の暗緑色は光を失い黒い影に変わりつつあります。
28 谷津干潟のヨシガモB 谷津干潟 2016年03月21日
翼鏡の深緑色が映え、鎌状の三列風切羽が美しいヨシガモ。 しかし、頭は逆光で光を失い、その輝きは見られません。
29 谷津干潟のヨシガモC 谷津干潟 2016年03月21日
顔から頬まで鉄錆色、後頭部が緑の光沢で映えるまさに、これぞ、ザ・ヨシガモ
30 谷津干潟のヨシガモD 谷津干潟 2016年03月21日
目の後ろから後頭部にかけて光線の加減で光沢を失ったヨシガモ。 向きが変われば緑の光沢が頭いっぱい輝きます。
31 谷津干潟のヨシガモE 谷津干潟 2016年03月21日
繁殖羽が美しい雄と雌のペア、繁殖地へ飛び立つのも、もうまもなくか?
32 名古屋城堀のヨシガモD 名古屋城の堀 2014年12月02日
名古屋城の堀では、十数羽のヨシガモが群れて泳いでいます。
33 名古屋城堀のヨシガモE 名古屋城の堀 2014年12月02日
10数羽の群れのレースです。 先頭はオスの4羽、抜きつ抜かれつ先陣争いです。頭の光沢は微妙に異なります。
34 名古屋城堀のヨシガモF 名古屋城の堀 2014年12月02日
第2集団は、オス2羽とメス1羽です。
35 名古屋城堀のヨシガモG 名古屋城の堀 2014年12月02日
そのすぐ後ろではメス2羽がデッドヒートです。
36 名古屋城堀のヨシガモH 名古屋城の堀 2014年12月02日
オス2羽のナポレオン・ハットは光線の具合で微妙に異なります。
37 井頭公園のヨシガモ@ 井頭公園 2016年02月06日
井頭公園でも毎年ヨシガモをたくさん見ることができます。 頭を羽に突っ込み寝ている姿が多いですが、起きて泳ぎ始めると優美です。
38 井頭公園のヨシガモA 井頭公園 2016年02月06日
井頭公園でのハンサムNo1. 光り輝く緑の頭につぶらな瞳。 三列風切羽も見事です。
39 神之池のヨシガモ@ 神之池 2016年01月04日
神之池でも毎年多くのヨシガモを観ることができます。 比較的近距離で写真が撮れ、ヨシガモの魅力を楽しめます。
40 神之池のヨシガモA 神之池 2016年01月04日
胸を張って、その美しい、緑の光沢を誇っているような神之池のヨシガモ。