日  時2017年5月27日(土)
内  容
~シギチの魅力を再確認~


 第24回野鳥サロンは、「シギとチドリの渡り」をテーマに、当会の友好団体である谷津干潟自然観察センター、行徳野鳥観察舎からお二人の講師をゲストとしてお招きし、野鳥サロン・スペシャルとして5月27日の午後、水の館3階研修室にて開催されました。
ゲストから貴重なお話が聴ける期待を胸に30名の会員が参集しました。

シギやチドリの仲間は、春に越冬地のオーストラリア、ニュージーランド、東南アジアなどから繁殖地の北に向けて飛び立ち、中継地として日本の干潟や田圃に降りてしばしの休養を取ります。その後さらにシベリアやアラスカまで飛行を続け、そこで繁殖します。子育てが終わる秋には越冬地を目指して南下、中継地として再び手賀沼周辺などに立ち寄るのです。オオソリハシシギのように繫殖地のアラスカから越冬地のオーストラリアやニュージーランドまで13,000kmを無着陸で飛行を続ける鳥もいます。シギチの渡りは実に壮大で、地球に育む生命の偉大さを感じさせずに置きません。今年生まれたばかりの幼鳥でも次の年同じ時期に同じ場所に迷子にもならずにやってきます。このシギチの不思議を少しは調べてみようというのが今回の野鳥サロンの目的でした。

最初に話していただいたのは、谷津干潟自然観察センター副所長の芝原達也さん。シギチの越冬地であるオーストラリア各所の団体や施設と交流を重ねておられ、現地調査にも行かれています。シギチ生息地ネットワーク交流会やバードリサーチの水鳥イベントなどで講演などもされており、ラムサール条約に基づいた活動を通して現地団体との交流も重ねています。

野鳥調査の話では、ハマシギが7割も減少したことや、シロチドリが世界的に減少していることなどの報告をいただきました。さらに、谷津干潟の浄化とアオサの駆除の苦労話もしていただき、改めて生態系の維持活動を続ける必要性を再確認できました。

続いて、行徳野鳥観察舎の佐藤達夫さんに話をいただきました。佐藤さんは、日本に飛来するシギチの主たる繁殖地であるロシアのレナ川河口湿地に行かれています。レナ川はバイカル湖付近から北極海まで流れ、広大な氾濫域を持つ世界で10番目に長い川で、周囲に大規模な都市が少なく貴重な自然が残っている地域です。そのレナデルタに、ヨーロッパ、アフリカ、アジアと異なった地域からコクガンやアジサシ、カモメやシギチなどが、それぞれのフライウェイを飛行して子育てに集まって来ます。そして、またそれぞれの地域へ帰って行くのです。佐藤さんの楽しい話に乗せられ、私たちに馴染のある鳥や、初めて見る鳥たちの子育ての映像を見せてもらい、なごやかな講話となりました。
佐藤さんは、常日頃は行徳や九十九里で野鳥観察、野鳥保護、自然環境保護に携わっています。ケガをした野鳥の面倒も見ていて、回復させては自然に返す仕事もしています。話をお聴きするにつれ、野鳥に対する並々ならぬ思いが伝わってきました。

両講師のお話の後、当会の会員との間で意見交換が行われました。 当会の会員が観察したシギチの足環やブラッグなど情報をきっかけに、シギチの渡りの標識調査の話題や、春と秋の飛行ルートの違いなどに関して活発に意見交換が行われました。
手賀沼周辺に、コチドリ、チュウシャクシギ、ムナグロなど多くのシギチが毎年同じ時期に同じ場所にやってきます。今日の話を糧に、これからもシギチの観察を進めようと、参加者全員が心を新たにさせられたサロンとなったようです。 時間の経つのも忘れ、大盛会のうちに終了しました。

(報告 弘實和昭)



野鳥サロン 1

野鳥サロン 1

撮影:弘實和昭



野鳥サロン 2

野鳥サロン 2

撮影:弘實和昭



野鳥サロン 3

野鳥サロン 3

撮影:相良直己